生活保護は生活に困っていれば誰でも受けられるというわけではなく、一定の条件を満たしていなければなりません。
まず、誰からも援助を受けられない状況であるという条件があります。
生活保護を受けるためには、生活保護申請書を提出しますが、その中に親や親せきに関する情報を記入するところがあります。
福祉事務所はそこに記入された人に対して「扶養照会」という書類を送ります。
もし、扶養に協力する人が誰もいないということが確認されれば生活保護を受ける条件を満たしていることになります。
また、預貯金がある場合は、目安として半月分の収入を超える金額ではないことも条件です。
預貯金に関しては福祉事務所が職権で確認できるので、隠しておくことはできません。
不動産については、住まいとして利用していない住宅や土地があるなら売却することが必要になります。
生活保護を受けるためには住宅ローンも含め借金がないことも条件です。
生活保護を受けながら借金の返済はできないので、住宅ローンがある場合は売却することが求められます。
また、借金を返済できなければ自己破産することを勧められます。
収入があるなら国が定めた最低生活費に満たないことも条件です。
最低生活費は住んでいる地域によって異なります。なお、手当金や年金があればそれらも収入をみなされます。
そのほかには、うつ病で仕事に就けない、重い病気やケガなどで働くことができないという場合も生活保護を受けることができます。
生活保護を受けたいけれど、窓口はどこかわからないという方も多いです。生活保護の手続きは、各市町村の福祉事務所で行います。
また、市町村によっては役所の「生活福祉課」「社会援護課」となっているところもあります。
どこへ行けばわからない場合は厚生労働省のサイトの「福祉事務所一覧」のページで検索してください。
居住できる家がなくホームレスとして生活している場合は、自分が寝泊まりしている場所の市町村の役所で申請します。
窓口に行ったら生活保護の相談であることを伝えてください。担当者との面接があります。その際にいくつかの書類を提出します。
書類を準備していない場合は、書類を持参してもう一度足を運ばなければならなくなるので二度手間になります。必要書類を確認、持参の上福祉事務所に行くようにしましょう。
福祉事務所の担当者は親身になって話を聞いてくれる人が多いと思いますが、中には非常に威圧的で、言葉遣いがきつく、話も聞かないという担当者もいます。
一部自治体の福祉事務所では、自治体の経済的な負担を減らすために「水際作戦」と呼ばれる、審査もしないで申請を断るということが行われてきました。
審査した上で申請が認められなかったというならまだしも、審査も行わずに申請を拒否するのはあってはならないことです。
自分一人で行くとなかなか受け付けてもらえないという場合は、NPO法人POSSEのような団体に相談すると無料で相談に乗ってもらえます。
生活保護の申請は、所定の書類を持参して市町村の福祉事務所で行います。
申請に必要な書類は生活保護申請書、収入申告書、資産申告書です。これらの書類は福祉事務所で入手できますが、認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやいのサイトからダウンロードすることもできます。
生活保護申請書には現住所や氏名などの他に、生活保護を受けたい理由や両親や親せきなどの援助者の情報などを記入します。
資産申告書には不動産の情報、預貯金や所持している現金、車やバイク、貴金属など高価な所有物、借金に関する情報などを記入します。
収入証明書には今月および過去3ヶ月の収入を記載します。収入がない場合はその理由を書いてください。
その他に、一時支給申請書というのがありますが、これはホームレス生活をしている人がアパートを借りるための入居費用の支給を申請するための書類です。
これらの書類のほかに、持って行った方がいいものは印鑑、申請者の名前と現住所を確認できる本人確認書類、年金手帳や保険証、預貯金通帳、アパートを借りているなら賃貸契約書、児童扶養手当等の手当金を受給しているならそれを証明できる書類、給与明細、直近の公共料金の領収書です。
なお、生活保護申請書や申告書に記載する内容に虚偽があってそれが発覚すると、生活保護が打ち切られたり、支給額を全額返済しなければならなくなることもあるので、必要事項は正確に正直に書くようにしてください。
生活保護制度は、世帯全員が預貯金や使用していない土地・住宅を売却するなどあらゆる努力をしてもなお、収入が最低生活費に届かない場合に利用できる制度です。
生活保護制度を利用して扶助される費用には、日常生活に必要な食費や光熱費・被服費、家賃、義務教育を受けるための費用、出産費用、仕事に就くために必要な技能を身に着けるための費用、冠婚葬祭費用があります。
これらの費用に関して、決められた範囲内で実費が支給されます。また、医療サービスや介護サービスを受けたときの費用も扶助されます。
生活保護の支給額は国が定めた最低生活費を基準として決められます。もし世帯の収入が最低生活費に達していない場合は、その不足分が支給されます。
ただ、年金や児童扶養手当等の支給を受けている場合は、その分が差し引かれて支給されます。なお、生活保護でもらえる金額は地域によって異なります。
何故かと言うと地域によって家賃や物価に格差があるからです。
家賃や物価の違いによって「級地」というのが決められているのですが、「1級地−1」の東京23区と「3級地−1」の北海道北見市では、家賃や物価の高い東京23区のほうが支給額が多くなります。
また、世帯の人数や年齢によっても支給額が違ってきます。
生活保護の支給額がいくらになるかは福祉事務所で聞かないと正確な数字はわかりませんが、ネット上の「生活保護計算ツール」を利用して目安となる金額を知ることはできます。
生活保護を受けられるのは、困窮した世帯にとってはありがたいことですが、生活保護にはメリットもあればデメリットもあります。
メリットは、生活に必要な食費や被服費、家賃などが一定の範囲内で扶助されるので、生活が成り立つということです。
また、年金保険料も免除され、自立できるようになり生活保護を受けなくなった後でも、免除期間の年金が半額支給されます。
さらに、住民税や所得税も免除の対象になり、住民票などの書類の発行も無料です。
また、指定医療機関で受診すれば医療費の自己負担はありません。東京都など一部の地域では、水道の基本料も全額免除になります。
一方、生活保護を受けることのデメリットの一つは預貯金ができないということです。生活保護の申請の際に、多額の預貯金があると申請は受理されません。
ただ、預貯金が1ヶ月の生活費の半分以下であれば、生活保護を受けることができます。
生活保護を受けている期間に新たに預貯金もできないことになっており、もし、貯金していたことが発覚すれば、生活保護が打ち切られます。
預貯金の状況は市町村が把握できるようになっていますので、隠しておくことはできません。
また、生活保護世帯には家賃の制限もあるので、生活保護を受けるためには引っ越しをしなければならないこともあります。
自動車の保有も原則的には認められていません。例外として認められるのは、僻地に住んでいるので車がないと生活ができない、自営業で仕事のために車がどうしても必要、身体に障害がある方で通院や通勤に車が必要という場合です。
生活保護の申請は市町村の福祉事務所で行います。
窓口に相談に行くと担当者との面接があり、家庭の状況や収入などについて詳しく尋ねられます。
状況によっては生活保護以外の制度を活用するように勧められることもあります。
面接が終わると、申請に必要な書類を渡されるので記入して提出します。申請手続きをスムーズにするために、給与明細や預貯金通帳、本人確認書類、印鑑などもあらかじめ準備しておくことをお勧めします。
福祉事務所は申請書を受理すると、ケースワーカーが申請者の自宅を訪問するように取り決めます。
訪問の際に、生活保護を受けるための条件を満たしているかどうかを調査します。
たとえば、家屋の間取りや浴室の有無などがチェックされます。
部屋に高価な物品が置かれている場合、数十万円で売却できる可能性があるようなものは売却するように求められますが、そうでなければそのまま置いておくことができます。
調査期間は2週間で、この期間中に金融機関や保険会社への照会も実施されます。調査が終わると生活保護を受けられるかどうかの連絡が書面で届きますが、受けられない場合は保護申請却下通知書が届きます。
もし、不服がある場合は再度、福祉事務所に行って相談してください。生活保護を受けられるという決定がなされて支給を受ける場合は、口座振り込みでの受け取りか窓口での受け取りになります。
また、生活保護を受けるようになったら、国民健康保険証は返却し、新たに生活保護の医療扶助を受けます。